房総単機旅団

原付による房総を中心としたツーリングレポートを中心に、青年から中年、そしてその先へと向かう4匹のおっさんの人生のアレコレを、房総単機旅団と名前だけは勇ましく緩やかに記録する。

房総半島一周の旅・二日目

[FUJIKOSKY]雨の朝

昨晩、異様に早く寝てしまったために4時頃に目が覚めました。その後、いくらなんでも早すぎると寝直したものの、6時には起き出して髭なんか剃ったりしちゃいました。ドラゴンコークが起きるまで、ぼんやりと宿の窓から見える海を眺めて過ごしました。静かな朝です。7時半頃に、ドラゴンコークを起こして朝食にしてもらいました。やはり朝食もなかなかのボリュームです(でも、御代わりしたのだ・・・)。旦那さんが自ら採取されたヒジキとワカメは美味でした。鯵の干物も新鮮でしたね。

素晴らしい朝食

朝食を終えたあたりから雨になりました。萌乃誉を待ちつつ、出発の支度を整えます。今日はレインウエアでの走行になりそうです。本当は10時チェックアウトなのですが、御好意で萌乃誉の到着まで待たせていただけることになりました。感謝。

後は待つばかりです。本人からのメールによれば、9時半頃となっておりますが、まあ無理でしょう。電柱の上にトンビが止まっています。静かな、そんな館山の朝の風景をドラゴンコークとただ眺めて過ごしました。

[萌乃誉]06:20 起床、遅刻!

朝、目覚まし代わりの古いケータイに叩き起こされて見ると、なんと6時20分。前前日の睡眠時間が約2時間、昨夜も2時過ぎの就寝で、どうやら時刻設定自体を失敗していた様子。5時半には起床して、6時には出発しようと思っていたので、これは大遅刻です。慌てつつも、心のどこかは穏やかで、ま、しょうがないよね、と、とにかく急いで準備をして出発。準備自体は昨夜のうちにある程度してあったので、残った荷物をまとめたりして、鞠号*1を引っ張り出して荷物を荷箱に詰め込んで記念撮影をして...などしているとどんどんと時間が過ぎ去り、結局出発は7時過ぎ。いやはや。

起床時には曇天だったのに玄関を出ると同時に雨。実に寂しい出発の光景となってしまいました。この日の房総半島の降水確率は50%と、これはもう絶対降ると言ってよい状況。デジタルな判断なら50%は0に割り振れるのに! などとバカなことを考えても、実際は見事に雨。先月、うまいこと台風をパスしたのに、また雨ですか、そうですか。

出発直前

しかし、鞠号には荷箱があるのですよ。FUJIKOSKYには魚屋だの行商だのと茶化されたが、これは実に便利です。ルックスはいまいちでも使ってみて初めて判る快適さ。荷造りは楽だし、雨にも濡れない。シートに荷を括り付けるとあとあと荷崩れしたりするものですが、荷箱はがっちり固定したら後は心配無用。旅のベストフレンドとすら言い切りたい逸品、完璧です。ただし難点があり、いささか乗車が窮屈になります。関節の硬い僕は、踵から足を上げ、膝を余り使わず不恰好に乗り込んでいました。後日、膝をコンパクトに畳んで乗り込むドラゴンコークを見て、まねをしてみたら結構楽で、それまでの自分はなんだったのかと...という反省も、まぁ、ありました。ええ、身体能力の高い人をいつもうらやましく思います。

近所に迷惑をかけたくないので、暖気もそこそこに道路へ。すっかり濡れた路面を見て、スリップダウンするんじゃないかと不安がむくむく。鞠号のタイヤは先日交換したばかりで、最初の100kmは路面への食い付きが悪いとアドバイスを受けていたため、そんな気分になったのでしょう。マンホールの蓋で滑るんじゃないか? 砂や葉っぱの溜まったところでこけるんじゃないか? 不安を持つ分、危険予測も出来るというものですが、なかなか気分のいいことではありません。

当初の予定では表通りをのんびり進むつもりだったのを、遅刻していることを考えて裏道優先に切り替え、谷戸だの山だのを次々ショートカットして行くことに。県道27号に出るまではひたすらに抜け道を使い、南郷トンネルを利用。このトンネル、長い長い直線で、大変に便利な分、平均時速が早くて怖い。車は大体80km/h位出しているのではないかしら。余り広くない道で、特に昇り車線では40-50km/hの速度差のある車に抜かれるのはなかなか緊張するものです。アクセルを開き、ニーグリップに徹して、後は根性根性ド根性、ひたすらに前進あるのみ。でたらめな歌を歌いながら上って、下って。バイクに乗ると、歌を歌いませんか? 僕は歌います。即興で、適当な歌を作って歌いまくる。歌が出なくなったら疲れ果てた証拠で、その時は要休憩と、自分でも分かりやすい徴になっています。

トンネルを抜けてすぐ左折、県道27号線から国道134号を経て、途中、妙に多くのパトカーと遭遇しながら南下。フルスロットルで行くわけにはいきませぬな。それでも、Go my way! とにかく進みます。久里浜に入り、開国橋の信号手前辺りでぐぐっと海が見えて、曇天で重い風景で。それでも、海にはいつも、胸に響く何かがあります。少し感動して、あわててカメラを取り出し、一枚すばやくシャッタを切りました。

久里浜の海

[萌乃誉]08:25 久里浜着

開国橋の交差点を右折、海岸沿いに走ると、すぐにフェリーターミナルが見えます。ちょうど港で動いているフェリーが見えてタイミングがいいと喜んでみたらばこれが出発した船で、結局丸々一便待つことになりました。二輪車の停車位置の先頭に鞠号を停車、ターミナルでチケットを購入。車でフェリーに乗る際はチケットの窓口で車検証の提示を求められることがありますが、原付だからか特に求められませんでした。自己申告で、原付です、の一言で無事往復のチケットを入手。乗船することになったのは、8時40分発のくりはま丸*2です。

チケットは往復分

チケットをポケットに入れてターミナルを出ると、なにせ一便出たばかり、バイクはまだ僕一人。他に辺りにはロードサイクルの一団がたむろしていました。後で知ることになりますが、房総ではちょうどツール・ド・千葉なるイベントが始まっていて、この絡みもあったのでしょう。みな一様に雨に濡れていて、なんとなく苦笑。旅に出る気持ちはみな変わらないようで、ハレの気配が漂っていて、にこやかで、なかなかにいい感じ。

次のフェリーの発船時刻まで到着から約40分、しかしフェリーの体感待ち時間は意外に短かい。チケットの購入やら乗船準備やらで結構時間が過ぎてしまい、気が付くともう次の船が来ているという次第。今回もあれ、もう? というタイミングで係員から乗船準備を求められました。鞠号を押して船の間近まで進み、一旦待機。船が着岸してハッチが開くのを待ちながら、またまた記念撮影。

遂に乗船、上陸作戦へ

[萌乃誉]08:35 くりはま丸乗船、船中の人となり、金谷へ(久里浜~金谷)

着岸してハッチが開くと、フェリー車両甲板は空っぽでした。まだ早い時間でこちらに渡ってくる車はいなかったのだと推察。係員に促されて、乗船と相成りました。ばたばたするからエンジンをかけるのが面倒で、鞠号を押してハッチを越え、甲板の最前部まで駆け足。事前にフェリーの床は滑るという話を聞いていたので少し緊張しました。後ろでは次に乗船してくるバイクや車のエンジン音がして、係員にもせかされ、テケテケとデッキを進むにつれて自然と浮かんでくる笑み。なんか楽しいぞ。船の進行方向に向かって左側、ポート(左舷)の一番前に指示されて停車。専用ケーブルで鞠号が固定されました。初乗船、成功。キラッ☆ミ

鞠号の後ろに停車したHONDAのXR Bajaがギアをローに入れるよう指示を受けていましたが、鞠号は良かったのだろうか。ニュートラルのままで停車させちゃったけど、ギアつきって認識されていないのかな? 車体が軽いから相手にされなかったのか、原付は元から規定外だったのか。

壁に固定される鞠号

固定された鞠号の荷物箱から貴重品を納めたかばんを取り出し、上部デッキへ移動。バイクは車両の中で一番先にフェリーに入るの為、出航までの時間が多少多く取れます。体が冷え切っていたので、ホットコーヒーを探して船内探索。しかし自販機には砂糖入りの甘いコーヒーしかなく、客室にはかなや丸に装備されているコーヒースタンドもなくて断念。砂糖入りのコーヒーは、じっさい砂糖の塊のようなもので、糖尿持ちにはなかなか辛い飲み物。ポッカのAromaxを標準装備としてくれないかなぁ。いかがでしょうか、東京湾フェリー殿。

客室は1階と2階の乗客甲板に分かれており(車両甲板は階数としてカウントせず)、一応両方を覗いてから2階のデッキ先頭に席をとりました。秋刀魚は目黒、乗り物は先頭に限る。やっぱり進行方向を見たいよね。晴れていれば後部から船室を出て、屋外のベンチに陣取るのも気持ちいいものだけど、残念ながら雨天とあっては表に出る気がしません。

荷物を開いて、GPSユニットやノートPCを出したりしているうちに船が動き出しました。雨は降っていても風がほとんどなく、海面は凪いでいて快適。PCを起こして、eMobileでインターネットに接続してみると、これが予想に反してしっかりと繋がるではないですか。なるほど、フラットなところでは、電波が問題なく届くのでしょうね。しばし、Blogに記事を書いてみたり、メールを送ったりしていました。海の上でネットに繋がるのもなにか面白いものです。

さらば三浦半島

[萌乃誉]GPSユニット

また、チラッと書きましたが、このGPSユニット、Sonyのデジカメ用のユーティリティで大変に便利なもの。型番はGPS-CS1KSP。サイズは大体うまい棒の長さを半分にしたくらい。単三電池2本で焼く8時間作動。15秒おきに現在位置の記録をとるだけの装置ですが、これをExif2.0に対応したデジカメで撮った写真とあわせるとあら不思議、写真に位置情報を埋め込んでくれるので、GoogleMapと連動させると撮影場所の情報が取れるんですね。ためしにこの下の写真をクリックしてみてください。Picasa2のHPに飛び、写真とともに地図も表示されるはずです。

Sony GPS-CS1KSP

[萌乃誉]ブーツとエンジンの熱い関係

ところで予想通り、雨はブーツに染込み、つま先から踝にかけてぐっしょりと濡れてしまいました。山用の雨具は丈が短く、踝がほぼむき出しになってしまい、足首にもだいぶダメージが。雨具の下にはユニクロのウォッシュドローストリングカーゴを着用していたのですが、これがまた丈が短い。痩せてしまったことがあって一サイズ下のものを穿いているのがあだをしたようです。バイクに乗車している姿勢は身体を折りたたんだ形なので、致し方ないのかもしれませんが、とにかく、丈は長いものが欲しいですね。あるいは、ちゃんとしたブーツを着用すればいいのかも知れません。

とにかく。足首も、ブーツも、雨で濡れまくって大変に冷たい。

水浸しのブーツ、問題の左足

さらに走っているときから不思議だったのですが、なぜかブーツの濡れ方が左右で異なるのです。鞠号はカブやスクータのような風防が着いていないので当然足はむき出し、左右で雨に当たる面積が異なることもなし。ところが右足は比較的乾いていて、左足ばかりが良く濡れている。これはいかなることか。

おそらく右足はクランクケースに側面を押し付けて走っており、左足はエンジンと密着していないせいではないかと思われます。鞠号の構造上、右足は用意にエンジンをホールドできるのに対し、左足はクラッチペダルに邪魔されて足を密着させることが不可能。走行中の熱で右足は靴全体が暖められ、濡れつつも乾燥していたのではないか。ところがこうしたヒータがないために、左足は濡れっぱなしになっていたのではないか。さらにエンジンから浮いているため、より濡れる面積も広い。ということで、左足ぐっしょり濡れ濡れ状態になったのではないかと。

この話題引っ張りますが、差当たりの対策として左足は余っていたビニール袋を履いてからブーツを履くことにしました。右足は、とりあえず放置。某社のブーツの広告ではありませんが、まず装備すべきはしっかりした靴であるように思います(いまだにしていませんが)。

話が逸れてブーツに行っている間に三浦半島はどんどんと小さくなり、目前に房総半島が迫ってきました。荷物をまとめ、一旦客室から後部甲板へ移動。ところでこの「甲板」って言葉には、妙にこう響くものがありませんか? 上陸作戦的なヨロコビがあるのですね。くりはま丸の2階客室から船外に出るとテント張りの空間があり、その向こうに煙突と、むき出しの甲板が待っています。横を見ると、カモメが何羽も船と併走している。カモメは結構なスピードで飛行し、時折海面に向かって急降下、船が走ることで魚が船の周りを戯れるのか、それを狙っての併走なのか。あるいは、単純に飛ぶのが楽しいのかもしれませんね。その方がロマンチックだし、なんとなくバイク乗りを思わせて嬉しい。ヤーチャイカ。

鋸山が迫ってくる

見れば港が目前に迫ってきたので甲板を下って鞠号のところへ。係りの人が拘束を解いてくれるまでは鞠号をどうこう出来ないので、荷物を荷箱へ仕舞い、気持ちの整理をして時を待ちます。胸の高鳴りと言うほどのものではありませんが期待感がむくむくと募ります。いよいよ上陸ですよ!

エンジンの音がいろいろと変化して、やがて港への係留が終わった模様、ごうごうと喧しくハッチが開く。鞠号の拘束も解かれ、いよいよ上陸! 上陸作戦とかいいながら、いたって平和なものです。乗船時同様に面倒なのでエンジンはかけず、鞠号を押して下船しました。さぁ、房総半島だ!

いよいよ上陸!

[萌乃誉]09:30 房総上陸、南へ(金谷~富浦)

上陸は午前9時半、あっけなく房総上陸作戦は成功しました。西六郷ドラゴンコーク、房総FUJIKOSKYは陸続きに走って房総入りをしているので、上陸作戦を行ったのは自分ひとり。この感動を味あわせてあげたいものですが、その為には別の旅をしてもらわないといけませんね。ふふ。ともかく他の車の邪魔にならないところまで鞠号を押して行き、ひとまずは記念撮影。早朝のフェリーターミナルは久里浜以上に閑散としています。いいなぁ、この感じ。

房総上陸!

さぁ、上陸したら、今度は進攻せねば! 気持ちが逸りのんびりしていることが出来ない。先行の二人も待っています。キックペダルを振り出してエンジンをスタート、装備を身につけ走り出す。国道127号線(R127)に出る信号で一旦止まって青を待ってスタート。これからこの道をひたすらに南下します。雨が残っていて、道路ももちろんウェット。三浦半島に比べて圧倒的に信号が少ない房総半島、R127も同様にそれなりのペースで車が流れていて多少緊張します。金谷から保田まではトンネルが多く、普段、車で走るにも気を使いうのですが、狭い上に荒れたこのトンネルは中にブラインドのコーナーまであり、海沿いの開けた道から入ると視野が狭まるとともに荒れた路面に足を取られてかなりの恐怖感を味わえます。怖い。車間距離さえとっていれば...後ろの車があおりさえしなければ...そんなことを考え、あとは度胸でアクセルをキープ。中でアクセルを緩めると却って後続車に巻き込まれそうで危ないので、多少減速して突入してからは、とにかく前進。

トンネルの先を少し走ると、保田の町に入り、おなじみ長狭街道との分岐点が現れます。いつもはここから山を越えて鴨川の市街に下るのですが、今日は素直にR127をトレース。前日にFUJIKOSKYとドラゴンコークが至福の昼食を摂った「ばんや」、道の駅「きょなん」(なぜ道の駅は表示がひらかななのだろう?)を通過、安房勝山の駅を過ぎた辺りでふと気が付くと鞠号の距離計が6000km目前。タイミングを合わせてウインカを出し、路肩に寄せて記念撮影。鞠号の歴史のほとんどは前のオーナが刻んだわけですが、それでも嬉しい。キリ番を喜ぶのは、なぜなのだろうな。6000km走破、おめでとう、鞠号。

鞠号6000km走破記念

[萌乃誉]10:00 初の給油(富浦~館山)

時刻はほぼ10時、雨は降り止まず、中途半端な小雨。R127のこの辺りは景観が良く悪天候が悔やまれます。R127は内房なぎさラインと名付けられていて、天気と交通条件が合えば相当に気持ちよく走行できるはず。

南無谷崎の辺り、切り通しに似た岬の中ほどを越えて、富浦方面へ。JR内房線富浦駅を過ぎ、県道302号との分岐を過ぎた辺りでふと不安になって近くの駐車場に駆け込みました。先ほどの分岐で本当によかったのかな? 知らない土地で知らない交差点を進んでいるとき、よくこういう不安に駆られます。実際、4回に1回くらいの確率で間違えるし...昔はもっとコマ地図を作るのがうまかったのですが、最近下手になったなぁ。間違えるもんなぁ。

地図を出して確認すると、R127と県道302の分岐点を経過したところで、間違いはなさそうでした。ふと横を見るとびわソフトどうのこうのという小屋が。不安になって飛び込んだ入りやすい大きな駐車場でしたが、これは道の駅とみうらでした。この時は知る由もありませんでしたが、前日に先行の2名が立ち寄りこのびわソフトを食していたことを後で知ることになります。びわソフトには大いに興味があったのですが...。あぁ、寝坊なんてしなければなぁ。

とにかく先行組と合流しなくてはと鞠号から降りることなく、再びR127へ。しばし進んだところでガススタンドを見つけ、給油。この旅初の給油です。場所は那古の辺り。このあたり、余所者が言うのもなんだが、風景がおかしい。なんでかこういう不思議な風景にしちゃうかな。

えーっと、椰子の木なんて並んじゃって、ここ、どこですか?

[萌乃誉]10:50 合流(館山、洲崎)

この辺ではR127は館山バイパスというらしい。道がちょいと混んできました。街は渋滞の元、結局交通もプールされてしまうんだなぁ。バイクはすり抜け可能なので、渋滞に強いという印象がありますが、じっさいのところは渋滞には相当にいらいらさせられます。ストップ&ゴーは本当にいらいらします。気を使います。

R127は大型ダンプも走る幹線道。ちょっと詰まってくると大型車と路肩に挟まれ、原付はパワーもないので相当に怖い。負けないぞ! というのは気持ちだけで、あんな乗り物に巻き込まれて勝てるわけがない。怖い怖いとつぶやきながら右折して内房なぎさラインへ(これで戻ったことになるのだろうか?)。住所はもう館山。合流も間近か!

JR館山駅を過ぎ、宮城公園の前を通って、一路洲崎へ。FUJIKOSKYよりメールで道順の説明があったので、それを確認しつつ前進。途中追いついてしまったバスに前をふさがれて、ペースを乱され結構いらいらしていました。大型ダンプも嫌ですが、バスがまた、排ガスも臭いし、遅いし、ええと、いらいらします。しかし僕はこうして書いてみると相当にイラチですね。いやはや。

風景が寂しくなってきた辺りで、ようやくバスをパスして、そういえば雨もほとんど上がって、ペースを上げて朽ち果てたミニを探しました。FUJIKOSKY、ドラゴンコークが泊まった民宿「ほりきり荘」はちょっと見つけづらいということで、その手前の腐ったMINIが目印とのこと。南房らしい植生が気持ちよくて、左手を気にしながら走り続け、MINI発見! 確かに腐りかけている。いや、ほとんど腐ってる! ついにほりきり荘到着です。嬉しくてなんとなくニヤニヤしながら鞠号を敷地に乗り入れると、建物の二階から二人が手を振っていました。おお! 着いたよ! 当初9時ごろ合流できるつもりだったので、いやはや2時間の遅刻ですね。悪いことをしました。聞けば民宿の親父さんも、僕の合流のために二人の為に宿を開けてくれていたとか。有難いことです。大変にお世話になりました。

ほりきり荘

遂に合流

FUJIKO号とドラゴンコークのトゥデイ、2台はブルーシートをかけられ、雨から保護されていました。やがて出てきた二人に宿の方が宿を開けていて下さったことを聞き改めて恐縮。半ば仕方ない遅刻だと自分では思っていても、迷惑をかけてしまいました。反省しきりです。

しかし、しかしついに3台が一同に介す時が! 房総単機旅団などといいながらオヂ予備軍がツーリングクラブを結成、ここに至るまで、実に長い長い準備期間でした。早速に記念撮影! をしたかったのですが、さんざ待たせたこともあっていい出せなくて、そのまま出発になってしまいました。うーむ。これは失敗でした。感動の一頁、月面着陸の瞬間のようなものだったのに。今回はこの手の撮り逃しが多く、振り返って記録係として反省しています。次回は負けないぞ!

[萌乃誉]11:10 房総単機旅団結集、出発(洲崎~野島崎)

FUJIKO号が軽く暖気を済ませ、宿の主にも感謝と別れを告げて、一同洲崎ほりきり荘を出発しました。FUJIKOSKYを先頭に、ドラゴンコーク、萌乃誉の順に隊列を組み、おお、旅団の初進行ですよ。走り出したFUJIKOSKYはよほど待ち侘びたのかいきなりのハイペース。これがFUJIKO号の実力か! そういえば赤い羽*3が付いていたような! 普通の原付の3倍の(体感)スピードでぶっ飛んでいくので、あせってアクセルを開けました。雨もほぼ収まり、時々は陽の光すら感じ、旅団への天の恵みか祝福か、洲崎からの気持ちの良い海沿いの道を疾走。一日目にドラゴンコークが始終微笑んでいて、とFUJIKOSKYが書いていますが、この辺りでは思わず笑みがこぼれました。ああ、いいなぁ。しかしペースはやっ!

3台はあっという間に洲崎を南下、11時40分頃に野島崎の駐車場へ滑り込みました。改めて3台を見比べる3人。それぞれの単車はウェットな路面から跳ね上げられた泥で天然のウェザリングが施されて、どことなく旅をしてきたという貫禄が(まだ僕は半日ですが!)。雨具を脱いだり、靴下を履き替えたりして(本当に気持ち悪かったんですよ。どうやら雨が上がったので、靴下を換えて両足にビニール袋も履いて、靴が乾くまでの対策としました)、ぶらぶらと岬へ向かう一同。この辺りは観光地で、ホテルや土産物屋が並び、さらには食堂もあったりして、ずいぶんとうまそうなメニューが並んでいて、生唾が。お腹すいたなぁ、って思っていたのは僕だけだったのかな?

野島崎着

野島崎は房総半島最南端の岬です。これより南は海のみ。最南端とか、端っこを巡ってしまうライダーが多いのはなぜなのだろう、と思いながら自分もまたその一人に。要所だけあり、灯台が聳え立っています。灯台はいいですね。灯台守とか、一昔前は十分にロマンを感じさせる存在でしたが、最近ではもう、そんなことを言っても若者には伝わらないかもしれないなぁ。ああ、思えば遠くに...。

房総半島最南端の碑と灯台

岬の入り口には赤い鳥居が。海神さまでしょうか、さすがに岬です。こういうのはFUJIKOSKYが詳しいので解説は任せます。洲崎方面を眺めながらドラゴンコークと「あっちから来たんだよね」と確認しあい、ちょっとばかり遠い目をしてみたり。もうほりきり荘付近は遠く山の向こうになってしまっていて、たった30分でも、半島の風景の変化は早く距離を感じました。

洲崎方面を望む

[FUJIKOSKY]では、解説しよう!

鳥居の向こう側に見えているちょっとピンク色の入ったホテルが「南海荘」です。ここの晩御飯は海鮮その他のバイキングになっていて、大ジョッキ片手に至福の時が楽しめます。是非、今度行きましょう!…まあ、鳥居は海の神様でございますよ。漁村ですからね~(いいのかこれで?)。


[萌乃誉]

岬はごつごつとした岩と波で浸食されて滑らかな岩が混じってなかなかの景色。しかし天気の所為か、どうしても頭の中が演歌モードに。好天ならばずっと違った印象だろうに、外房の強い波と、曇天、岩だらけの風景は、やっぱり演歌なんだなぁ。

ど演歌

[萌乃誉]野島崎、「朝日と夕陽の見える岬」

右手の視界を岩に阻まれ、左手に灯台を眺めながら先へ進むと岩の塊がより高くなり、その天辺にベンチが一つ。中年の夫婦らしきカップルが座って遠くを眺めています。FUJIKOSKYが、あそこを極めねばならぬ、と宣言するので一同わしわしと岩を登ると、なるほど、素晴らしい景色が開けていました。茫洋と拡がる太平洋。遠く見えるはハワイかカムチャッカか(見えません)。そして頭を再びよぎる演歌。ベンチの脇には「絶景 朝日と夕陽日の見える岬」の碑*4が。ああ、目の前の絶景に絶景とわざわざ言うこの観光地根性。そういうのは、静かに口コミに任せ、ベンチをそっと置いておくくらいにすれば、どれだけ気が利いていることか。とはいえ、景色は本当に素晴らしい。訪れる価値は十分以上にあります。

「朝日と夕陽の見える岬」

最南端の碑がいくつもあり、これは地図の付いたもの。
だいたいこのあたりが野島崎

[萌乃誉]12:15 北上開始――(野島崎~道の駅ローズマリー公園/シェイクスピア・カントリー・パーク)

南端の攻略が済み、満足して駐車場へ戻る一同。再びFUJIKOSKYを先頭にして、ここからは北上となる。もう南には進めませんからね。これ以上南にいくならば船をチャーターしなければ。単車に跨ると性格が変わるのか、再び快走するFUJIKO号。天気もだいぶよくなってきており、雨具も脱いだので気持ちも身体も軽くなって気分も向上。演歌な気分ともお別れです。

この辺りの道路はさすがに南国、防風林もさることながら、そのハザマに覗くリゾート施設が半端でない。おそらくはカリフォルニアなどをイメージして作ったのであろう不思議な巨大リゾート施設がぽこぽこ現れます。住所としては白浜になりますが、夏は海がものすごく気持ちよい所なんですよね。一度夏にも来たいものです。太陽に焼かれて走るものまた乙なものかと。

実はこの辺りで、空腹もさることながら睡魔に襲われていました。千倉の辺りで講談社の福祉施設を通るはずなのですが、その辺の記憶がない。防風林の間の気持ちのよい空いた道路を走っているうちに、しんがりの気楽さもあって(後ろから来るパンダちゃんを気にしていればいいわけで)、あやうくうとうと仕掛けていたんですねぇ。危ない、危ない。自転車の集団とすれ違い始めたのは、確かこの辺りからだったと記憶しています。そう、先にちょっと書いたツール・ド・千葉の参加者たちが反対車線を南下していました。北海道をチャリで走っていた記憶がよみがえって、ついついピースサインをしそうになるも、今の人が理解してくれるのか、また、ロードサイクルの人たちの文化にピースサインがあるのかどうか分からなくて、せずに済ませてしまったけど、これは惜しかったかな。

[萌乃誉]12:40 道の駅ローズマリー公園到着(シェイクスピア・カントリー・パーク)

自転車集団に気を良くしつつ、眠気と戦っているとふとFUJIKOSKYがウインカを出して左折、ようやく道の駅ローズマリー公園(ここはひらがなでなかった!)に到着。施設の脇にある駐車場へ単車を停めました。なんとこの駐車場にはちゃんとバイク専用の停車スペースがあります。台数は多くないけれど、これは嬉しい配慮。装備をまとめて貴重品を持って、ぶらぶらと公園の中へ。季節はほぼ秋といったところですが、公園を入るといろいろな花が咲き乱れ、真ん中に純白の建物が。これはねぇ、女の子を連れてくるところですよ。うちの娘たちを連れてきたら喜ぶだろうなぁ。最後に来てからずいぶんご無沙汰していたので、鮮やかな色合いが目に新鮮に映ります。

この鮮やかさ!

スミレでしょうか?

サルビアも蕩けるようで

じっさい、ローズマリー公園とシェイクスピア・カントリー・パークはこの日のハイライトでした。公園の花を各自激写して、中央のみやげ物売り場(白い建物)を見物してから、隣に回ってシェイクスピア・カントリー・パークに入場。ここは名前のとおりシェイクスピアをテーマにした施設で、彼の生家を模した建物その他、かなりリアルに当時の建物を再現しています。展示も様々で、当時の家具その他でインテリアも再現、関連資料や数百体の人形を配置したジオラマやグローブ座の模型など、派手さはありませんが見るものには事欠きません。あれこれ見て回り、シェイクスピア人形が講義をしてくれる展示まで来て、ついに眠気がピークに。ベンチに倒れてしばらく夢の世界へ落ちました。パックは現れませんでしたが、施設内はとても静かで、夢現をさまようには最適でした(もちろん、たまたま空いていたからですよ!)。

シェイクスピア・カントリー・パーク入り口

左側が劇場、正面が入り口のあった建物
右の建物には模型の展示等がある

[萌乃誉]14:20 昼食

一通り展示も見て回り、満足した一同ですが、さて、まだお昼を食べていないよ? 僕の所為でスタートが遅くなった分、先を急いでここまで来てしまい、実に中途半端な時間な時間になっていました。FUJIKOSKYはもう食べなくてもいいかと切ないことを。ドラゴンコークとFUJIKOSKYは大変にリッチな朝食を摂っていたのですよ。

ほりきり荘のすんばらしい朝食

しかしこちとら朝からほとんど何も食べておらず、もう空腹もいいところ。何か食べようと、施設内の喫茶店へ。さすがはイギリス仕込みの施設だけあって、ありました、サンドウィッチにスコーン。サンドウィッチも捨てがたいが、しかしなんと言ってもイギリスのお茶といったらスコーン(と思い込んでいる)。紅茶とスコーンのセットを頼む一同。男三人でお茶を飲みスコーンを食べ、というのはイギリスなら自然な光景かもしれないけど、日本だと、なかなかにアレな光景です。ああ、スコーンは旨いなぁ! 

スコーン&ティ

この喫茶店もまた、素敵な建物

スコーンを食べ、お茶を飲み、レジでクッキーなどを買い込んだ一同は中庭で面白いものを発見しました。そう、使用人が悪さをした際にくくりつけておく拷問具。足の力を緩めると首が絞まっちゃうので、長時間これに挟まれると、単純にさらし者にされる以上のダメージがあったはず。恐ろしいものをまた据えていますね。早速本日遅刻をやらかしたワタクシメがくくりつけられておきました。どうだ参ったかべらんめぇ! こ、この程度で参ると思うなよぅ...キュウ。

懲りました?

[FUJIKOSKY]晒し者

本当はコレはイギリスで実際に使用されていたという軽犯罪者用の晒し台ですね。朝から晩までで10日間くらいの刑だったとか。この写真の方は自らアタマを突っ込んで「写してくれ!」と懇願したとか、または地元の女の子にちょっかいを出して捕縛されちゃったとかいう噂ですのよ奥様。


[萌乃誉]

施設を出て、公園に戻ると、先ほどから気になっていたスタンドが。その名もやまももソフト。今朝食べられなかったびわソフトの恨みをやまももで晴らすのであります。ここで濃厚ミルクを頼むとネタ的には英雄ですが、そんなバカはしません。きっちりやまももソフトを購入。うん。いいですね。旨い。道の駅ローズマリー公園にいらっしゃることがあればぜひお召し上がりくださいませ。

やまももソフト

さて、そんなこんなで時間は飛ぶように過ぎ、なんとなく日も傾いてきました。時間はほぼ15時。この先まだ道のりがあるので、そろそろ退却の時間です。駐車場の脇に塔があり、これが見晴台となっているので、最後にここに上って道の駅全体を写真に収めました。右手奥がシェイクスピア・カントリー・パーク。

道の駅ローズマリー公園

HONDA三兄弟

[萌乃誉]15:00 北上再開(丸山町~鴨川)

ここからは隊列を変え、鴨川~勝浦辺りに一番詳しい僕が先頭を走ることに。もはやひたすらに北上するだけですから、先ほどのFUJIKOSKYのペースに倣ってハイペースを心がけてどんどん行きます。対向車線にはツール・ド・千葉のロードサイクルが次々に現れ、それぞれのペースでゴールを目指していました。老若男女、あれも楽しそうだなぁ。一日目は海岸線の変化のあるコースで、きっと気持ちもいいはず。

途中一度給油をして、再び北上。コーナが現れると気持ちよくて笑っちゃいますね。白浜から丸山町(道の駅ローズマリー公園あたり)までは房総フラワーラインという名前だった道路は和田町下三原付近で外房黒潮ライン(R128)と合流します。GoogleMapなどで確認していただくと、この道の気持ちよさが分かると思いますが、信号も少なく、海が現れたり消えたり、風光明媚な場所を何度も通ります。

だがしかし、時は10月時刻は15時過ぎ、段々と太陽は西へ下り、気温が下がり始めました。バイクは全身運動、しかし運動量はさほど多くなく、ひたすらに風に向かっていくために気温の変化に敏感になります。投影面積の一番大きな腹部、胸部、さらに僕とFUJIKOSKYは腿もどんどんと冷えていくわけで、先ほどまで暑いくらいに感じていたのに、太陽の力の偉大さをひしひしと感じることになりました。鴨川の街を通り過ぎる頃には空もだいぶ暗くなって、道路のつまらなさからバイパスを避けて旧道に入ったのですが、これが素晴らしい夕焼け。思わず鞠号を停めました。

鴨川市内方向を臨む。素晴らしい夕焼け

ドラゴンコークとFUJIKOSKY、夕陽に何を思う

[FUJIKOSKY]あう

給油の際に「トバし過ぎじゃね?」と聞きましたら、「オメーのペースに合わせたんだよ!」と言われちまいました…。この後の勝浦辺りの走行で思ったのですが、確かに上り坂などは特にApeはトルクがあって、シンガリを走るのは辛いものがありました。エンジン音だけ聞いていると危ないね…反省!

[萌乃誉]16:00 夕暮れ、そして夜(鴨川~勝浦~御宿~大原~町岬)

本当はこの後、小湊からおせんころがしの方へ逸れ、さらに勝浦で港から勝浦灯台の方へ上りたかったのですが、相当に暗くなってきたので断念。海岸沿いにアップダウンとワインディングが続く素晴らしい道なのですが、ここは我慢してひたすらにR128を進むことに。いつの間にか増えた交通量、暗いは怖いは寒いはで気分は面堂終太郎。くらいよーこわいよーさむいよーと心の中で叫びつつ一宮へ。勝浦を過ぎ御宿を抜け、御宿に達する頃にはもうすっかり日が暮れてあたりは真っ暗。正直こうなるとどこを走っているのか、地元を走っているのとあまり変わりません。今日の宿はキッチンつき食堂なし、夕食は食材を持ち込む必要あり。補給先のスーパーに寄る必要があるのに、何せ初めてのところである上に見通しが利かない。目指すはスーパーセンターレオ岬店、とにかく地名を見ながら、夷隅川を渡ってしばらく先を左のスーパー、と左手を捜していたのですが。

...これが見事に通り過ぎました。とっさに気付いたドラゴンコークがクラクションを鳴らし、一同Uターン。僕が描いていたスーパーは、地元の西友とかそうしたものだったのですが、スーパーセンターレオ岬店はどちらかというと郊外型の酒のディスカウント店といった外観で、スーパーだと認識していませんでした。店名は見事に見落として、完全にアウト。ドラゴンコークの注意力に感謝しましたが、彼は彼で眠気と寒気と懸命に戦っていたことが後に判明。いや、よく気付いたなぁ。大体僕はいい加減で、間違えれば戻ればいいと思っている怠け者なので(これが最終日にも仇となる)、余計にいけません。先頭を走ったりしちゃいかんぜよ。

17:30 スーパーセンターレオ岬店~ホテル・グランド・ヴィュー・一宮

そんなこんなで、スーパーセンターレオ岬店に着いたのは17時半。ずいぶん遅くなってしまいました。早速、カートを手に店内を物色する三人。いきなり酒に目が行くあたり、もう、なんていうか。それぞれの欲望に任せて食べたいものをカートに放り込んで、ビールも補給して(飲んだわけではない)、こんな荷物どこに入りますのんっていう状態で店を退出。こういう時何より心強いドラゴンコークのトゥデイ、そして鞠号の荷箱、あとはFUJIKOSKYのナップサックと荷物を分散処理。再び乗機して一宮の宿を目指します。とはいっても、R128を引き続き北上していくだけなのです。

今度の目印は東浪見の分岐点。その信号を左(R128のまま)に進み、その辺りに立つホテル・グランド・ヴィュー・一宮が今宵の宿です。「その辺り」、というのは地図が曖昧で、分岐点の先らしい、というか地図上では分岐点の右側にあるように記載されており、まぁ行けば分かるだろうと、またしても適当な間隔で進んでおりました。ないなぁ、ないなぁと右側を気にしていたらば、またしてもクラクション。今度はFUJIKOSKYでした。「あれだろう?」ということでFUJIKOSKYが指差したのは、え、ちょ、左側。左側って、地図と違うじゃん。ぜんぜん気にしてませんでした。やっぱり先頭を走る資格ありませんね。

ちょろっと戻って、エントランスを登って駐車。さすがにへろへろで、荷物を引きずり出して、脳内では難民のような気分で宿のドアをくぐりました。このホテル、と自称する宿泊施設は、どうみても経営に失敗したリゾートマンションで、経営者が変わったのかそのままなのかとにかく方針を変更して部屋を宿として貸すようにしているものの様です。建物全体からエモイワレヌ廃墟感というか、打ち捨てれた空虚さが漂っていて、一時期の大友明の漫画みたいというか、サバービアな怖さって言うか、ええと、一人では絶対に泊まりたくないタイプ。夜中に殺されちゃっても一月くらい発見されなさそうな感じがあります。とはいえ今日は3名。そういう怖さも薄れ、というか殆ど気にならず、そうしてみると普通のマンションの一室というのはこれはなかなかに快適で、風呂もキッチンもあって食器まで用意されている環境は気軽な上に便利でした。

玄関を入ってすぐの所に管理人室受付があり、ここで料金を前払いして鍵を受け取ります。いかにもな感じの東南アジア系のおねぇさんがいい味を出しております。管理人室受付の隣はコインランドリーになっており、部屋に収まった後ドラゴンコークとFUJIKOSKYが活用していました。エレベータで11階へ上り、何号室だったか記憶は定かでありませんが、部屋に収まりました。部屋はいわゆる1LDK、または2DKか? リビングにベッドが二つ収まり、隣に和室が併設されておりました。早速荷物を片付け、服装を楽にして、宴会部屋を和室と定めて準備開始。風呂も平行して入れ始めまして。

キッチンで買ってきたトマトとモツァレラチーズでカプレーゼを作り(オリーブ油はなかったがまぁ良しとして)、セロリのスティックサラダを作り、他各種惣菜を盛り付けて、おお、こんなに豪華に! 順番に風呂に浸かってから宴会を開始しました。

ワンダフルかつスペシャルな、寮生の宴会メニューみたいで素敵!

一日の走行と、おそらく体が冷えたので軽く喘息気味でしたが、ビールは旨いし、飯はたくさんあるしで、夜食用のカップ麺にまで手が伸びることもなく満腹に。惣菜が消えるまで飲んで、それからトランプ大会に突入。小銭をナニしてポーカーなどやったわけですが、ちなみに僕は賭け事にはめっぽう弱く、この日も予想通りの結果が。後にFUJIKOSKYからこの小銭分は還元されたと記憶しておりますが、いやはや。弱いものは弱いな。安定して弱いのだから、分かりやすい(笑)。ドラゴンコークがこの手のゲーム好きなのは知っていましたが、今まで眠そうだったのが急に生き生きとしてきて、おお、豹変。こういう姿って普段職場では見ないので、新鮮で面白い。旅行などして楽しいのはこういうところですね。いろいろな側面が見えて実に楽しい。

疲れきって就寝したのが何時だったか、時計を確認することもなかったような気がします。ベッドは腰が痛くなるので、布団を使わせてもらって、夜中に、就寝。長い一日が幕を閉じました。よく走ったなぁ。ちなみにこの日の走行距離、不明。ちゃんとメータを撮影することを、すっかり失念していました。嗚呼。おばか。

[ドラゴンコーク]二日目の走行について

あくまで自分の視点という前提で。この日の走行は前日とは違った良さがあったと思います。初日は割と穏やかな風景というのか、海岸線はゆったりとしており海上も波が殆ど無く、内陸部も、のどかな農村風景といった感じで、FUJIKOSKYいわく「終始笑顔で」楽しんでおりました。(告白すると、確かに笑顔で景色を堪能していた反面、もう一つの理由として、強い日差しの為やや目を細めて走っていた結果、口元の筋肉がつりあがっていた面もありました。)この日は一転して、険しい地形が多かったように感じました。特に印象深かったのは、鴨川市街を過ぎた辺りから勝浦市、御宿町にかけての山道ですね。この日は萌之誉が先導役でしたが、険峻な地形ゆえ海沿いのルートが無いということですかね。アップダウンを繰り返し、無数のトンネルを超え、たまに右手に海がチラッと見えるというルートは、前日と違った意味で楽しかったです。

しかしここで問題が・・・。時間帯は夕方近く(正確な時刻を記憶しておらず。誰か追記を希望)、そして山道ということで気温が低めだった為正直寒かった。(ローズマリー公園にいた時分は日差しも強くて暑かったのだが)そして寒いにも関わらず実は睡魔とも闘っていたのです。いやあ内心命の危険を感じる位ヤバかったです。「寒いのに眠い」って、映画などでおなじみの「おいしっかりしろ!今眠ると死んでしまうぞ!」という雪山遭難のパターンか?ひんぱんにカーブ、高低差のある複雑な道でこの状態は思い出すにつけ恐ろしい。しかし後刻宿に到着して、深夜のトランプ大会の際は意識が全開に覚醒するのでした。

[FUJIKOSKY]自己総括みたいな?

今回の旅でガマンしたことに、例の「道の駅攻略」があります。あちこち寄ってのロスタイムは申し訳ないですから…と、言いつつもあらかじめチェックしておいたのは正解でした。初日の「とみうら」といい、本日の「ローズマリー公園(こちらが道の駅)/シェイクスピア・カントリーパーク」といい、最終日に寄る二ヶ所といい、全て道の駅ですから。予習は大切ですね。とはいえ、予め走った道ばかりというのも味気ないものです。今回の鴨川あたりから明日の九十九里浜前半までは、バイクでは未知の道(すいません…)なので楽しみにしておりました。三人での初の走行ということもあって、本当に楽しかったですね。宴会も一生忘れないホドに楽しかったし、翌日死ぬんじゃないかと恐れたほどでした。やはり、最も大切なのは仲間の存在ですね~。しみじみ。

二日目写真一覧

この日の写真一覧はこちらから:

房総単機旅団――房総全周攻略2日目

また、マップ上で確認するにはこちらからどうぞ:

http://picasaweb.google.co.jp/arithmatix/2/photo#map

(多少位置がずれていますが、ご容赦ください)

*1:HONDA Benly CL50のこと。正式名称をMarie de Moenohomare、萌乃誉鞠号

*2:東京湾フェリーの情報は http://www.tokyowanferry.com/ 参照。

*3:角、と思われている節がありますが、誤解です。あれは羽です。某大佐の乗機のおでこのあれ。

*4:さらに、なぜ「朝日」と「夕日」でないのか、私、気になります。